花・6月 2
美容柳・有田   (6月11日)

   目の覚めるような黄色い花。 
  たくさんの長いおしべが花弁からはみ出すように
  咲いていて、その美しさを際立たせている。
  よく枝分かれしていて、満開の様子は
  まるで楊貴妃のよう。
  梅雨空に負けないで、しっかりと咲いている姿に、
  健気な花の強さを感じる。
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チガヤ・有田   (6月12日)

   野山や川原などによく生える多年草。
  先が開き始めるとその細い穂が銀色に光る。
  群生しながら風にたなびく姿は何ともいえない
  風情がある。
  赤や黄色のお花のような華やかさはないが
  野の花には慎ましやかで気丈な美しさがある。
  
ビワ・有田  (6月14日)

   先週末、有田に帰った。 そして豊作の
  ビワ採りをした。 採ってはカゴにいれ、
  採っては口に入れ、楽しい収穫を味わった。
  世話もせず、放っておいたビワの木なのに、
  こんなにいっぱい実を付けてくれた。 
  愛しくてギュッとした。
  採りたてのビワは甘くて、瑞々しく口に広がった。
  トパーズのようなビワが太陽に照らされて、
  キラキラ輝いていた。
南天・有田   (6月15日)

   お正月を飾る門松や松竹梅の盆栽に
  必ずといっていいほど添えられている赤い南天の実。
  「難転」に通じ、災いを他に転ずるという意味で
  縁起のいい木とされ、よく鬼門封じに植えられている。
  そんな南天の花が咲くのは梅雨時。
  白い小さな花が先へ先へと伸びるように咲く。
  赤い実とはまた違った美しさを持つ。
 
マツバギク・阿倍野区   (6月16日)

   梅雨時のブルーな気持ちをパッと明るく
  してくれるマツバギク。
  地面をはうように広がり、花壇に植えられている
  様子は、まるで花ござを敷いたよう。
  花は日中開き、夜や曇りの日には閉じている。
  眠りについたり目覚めたり・・・
  おまえも同じように生きているんだね。
花手毬・阿倍野区   (6月17日)

   サントリーフラワーズが開発した
  「宿根バーベナ」を品種改良したのが花手毬。
  長い間、花の時期を楽しむことができる。
  赤い花には降り続く雨が不似合いで、
  思わず立ち止まって傘を差しかけた。
  あなたを駅まで迎えに行く途中・・・。
梔子(くちなし)・阿倍野区  (6月18日)

   清純な白い美しさと上品な香りが好まれ、
  昔から庭木として愛されてきた。
  黄橙色の雄しべが開いた花弁の底に
  タスキのように掛かっているのが面白い。
  和名は果実が熟しても開かないので、
  「口無し」の意味でつけられたという。
  雨に打ち消されることなく芳香を漂わせ、
  凛として咲くくちなしの花を本当に綺麗だと思う。
  
デンドロビウム・自宅  (6月19日)

   物干しの隅っこに無造作に置いていたデンドロ。
  ずいぶん昔のもので、毎年花をつけたり、
  つけなかったりと、その気まぐれさも半端ではない。
  「今年は少し遅くなりましたが・・・」と言いながら
  咲いたようで、紫陽花の陰で恥ずかしそうにしていた。
  降り続く雨。 部屋の中に入れてやると、
  ホッとしたような顔をして、イキイキとし始めた。
  おまえは雨が苦手なのかな?
     
睡蓮・氷室神社(奈良市)   (6月20日)

   梅雨時にはもうひとつ忘れてはならない花がある。 
  巨匠モネがこよなく愛した睡蓮。 モネの描く世界は幻想的で力強い。
  朝露に濡れる頃から花びらが開き、昼過ぎには閉じてしまう。
  それを4〜5日繰り返し、枯れ花を人に見せることなく水中に沈んでしまう。
  その潔さと、天に向かって咲いている姿は、梅雨時の重い気分を晴らしてくれる。