花・6月 3
沙羅双樹・(京都妙心寺・東林院)   (6月21日)

   「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」
  平家物語のこの冒頭部分はあまりにも有名で、沙羅双樹は儚さを表す花にたとえられた。
  樹齢300年以上、高さ15メートル。 東林院のこの古木は、梅雨時20日間だけ一般公開される。
  椿に似た真っ白い花を枝いっぱいに咲かせ、朝に咲き夕には散りゆく儚い命の「一日花」。
  散り落ちた沙羅の花が、もう一度苔の上で美しさを蘇らせる。
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どくだみ・有田   (6月22日)

   一泊で有田に帰って来た。 
  そしてどくだみの花を見つけた。 
  あまり好まれない花であるが私は好きである。
  星野富弘さんがこの花を描き、添えられた詩に
  魅かれている。 私はずっと昔から
  「おまえの葉は心臓の形に似ている」と
  語りかけてきた。
温州みかん・有田   (6月23日)

   みかんの花が満開だったあの日から
  1ヶ月半が過ぎた。
  そして白い花のあとに小さな実がついた。
  これが温州みかんになるのかと
  不思議な気持ちがする。
  梅雨時の長雨、夏の日照りを経験して、
  秋の台風からも身を守り、
  晩秋の収穫までの道のりは長い。
  裏山が黄金色に変わる時、
  有田は希望の果実を神様から与えられる。
ざくろ・(東大寺・二月堂)   (6月24日)

   弥生三月、春を呼ぶお水取りで火の粉が舞った二月堂に、
  赤いざくろの花が咲き始めるとまもなく初夏が訪れる。 
  この鮮やかなざくろの花が秋には赤く熟した大きな球形の果実となり、
  その中のルビーのような実が甘酸っぱく、懐かしい味を思い出させてくれる。
  風に揺れると、赤いざくろの花が二月堂の屋根瓦に交差する。
アガパンサス・有田   (6月25日)

   南アフリカ原産のこの花は「紫君子蘭」とも
  呼ばれ、背丈は70〜80センチにもなる多年草。
  パステルブルーの花が何だかホッとさせてくれる。
  アガパンサスとはギリシャ語のアガペ(愛)の意味で、
  すなわち「愛の花」である。
  花言葉は「恋の訪れ」。 その開花が待ちどうしい。
  
カラー・東住吉区   (6月28日)

   和名をオランダカイウ(和蘭海芋)という。
  オランダ船に乗って運ばれてきた里芋に似た
  根を持つ花の意味。
  洋服の襟元(カラー)に似ていることから、
  一般的にはカラーと呼ばれている。
  柔らかな曲線が独特の雰囲気で、
  そのシンプルな美しさは多くの人に愛されている。
  
ゼラニウム・阿倍野区   (6月30日)

   ゼラニウムは欧米の風景にすっかり馴染んだ
  花だが、もともとは南アフリカ原産の多年草。
  赤やオレンジ、ピンクを中心にさまざまな色があり、
  品種改良されている。
  一週間の始まりに・・・
  赤い花は やはり元気を運んでくれそうだ。