June . 2
         六月の調べ


田植えの終わった水田にはたくさんの仲間がいる
オケラにヤゴにおたまじゃくし
浮き草ゆらゆら サワガニにアメンボウ

広いグランドを自由に泳いで太陽を浴びて
暑くなったら雨のシャワー

やがておたまじゃくしがカエルになってケロケロケロ
テノールとバスの低音は耳障りではなく
その調べはタンゴにもワルツにも聴こえてきた

私はそんな自然の中で幸せに暮らし大人になった
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  BGM ・ 散歩道
オリジナルピアノサウンド

(6月11日)
(6月12日)
         紫陽花の詩


二人で裏の畑で紫陽花の枝を折ったね
両手に抱えきれないほどの紫陽花を
自転車のカゴに入れて坂道を走ったね

紫陽花が咲いたら告白しようと決めていて
白い便箋にたった一言 「 好きです 」 と書いたね
「 もっと気持ちを書きなよ 」 と言う私に
「 この四文字がすべての気持ち 」 って言ったね

彼の家の玄関に着いた時 私までドキドキしたよ
チャイムを鳴らして出てきた彼に
「 もらってください 」 と一言言って
私たちは逃げるように帰って来たね

私は今でも紫陽花が咲くと あなたの勇気を思い出す
広子ちゃん あの時とても綺麗だったよ
           階段


夢の中で長い階段を前に躊躇している私がいた
上りつめた先にあの人が待っていた
愛しいあの人が私だけを見つめて待っていた

どうして躊躇しているかわからなかった
きっと幸せになれるなんて思ったことがなく
私の夢芝居はいつも途中で目が覚めた

幸せの階段を上るには荷物が重すぎる
すべての荷物を置いてあの人のところに行きたい
今を捨てることに何の未練もためらいもない

けれど夢だとわかっているから上れない
私には初めから架空の階段だった
(6月13日)
       朝が来る前に


夜と朝の間のわずかな時間に
身支度を整えて帰らなければならない
それは港の魔女がかけた魔法がとける時間

港の灯りが消え 朝陽が昇り始めると
もう現実の世界には戻れない
ここはシンデレラが王子様と出会った場所

たくさんの大切なものを残してここに来た
魔法がとける前にベイブリッジを渡って
何もなかったように元の場所に戻ろう

絵本の中ではないシンデレラには
普段着とエプロンが似合うのかもしれない

(6月14日)
(5月15日)
      コンペイトウの詩


梅雨の晴れ間がのぞいたら
嬉しくて山辺の野原へ駆けて行った
ここは私と絵里子ちゃんの秘密の野原

持っていたリュックを枕に寝ころんで
流れる雲に 「 お〜い雲よ 」 と話かけた
野原にはコンペイトウの花が咲き乱れ
ミツバチたちがその花のにキスをした

「 この花はきっと夜空の星屑が落っこちたんだね 」
そんなことを呟きながら眠りに落ちた

思いっきり遊んだ記憶は 時を越えて蘇る
少女の頃のコンペイトウの野原


(6月16日)
         ひとつになる時


撮った写真に言葉を添えて毎日更新する
私が1年2ヶ月以上続けてきた自分を表現する術だ

何気ない日常を撮って満足出来ずにいても
それに言葉を添えるとその写真が生きてくる
田植えが終わった田んぼ 庭先で咲く紫陽花
毎日使う私専用のマグカップ 郵便ポストや時計まで
言葉ひとつで物語の世界に変わる

それほど言葉とは重要性を持っている
言葉ひとつで人は生きることも死ぬことも可能だ

いつも言葉の重さを深く考えながら
私は今日も撮り続け 書き続ける
言葉と写真がひとつになる時 
私はこの場所で 生きていることを実感する
ポケモンジェット’99   (6月17日)
         夢に向かって


子供の頃 夢がいっぱいある少女だった
青春時代は夢物語の中にいた
結婚しても夢は追い続けたし 子供が出来ると
今度は子供たちと一緒に夢を育てるようになった
そのうち子供たちが大人になり 
夢がなくなるかと思ったけれど 夢は捨てきれない

そしてこんな飛行機が無性に撮りたくなる
機体全体にポケモンが描かれていて
見ているだけでワクワクする

羽田から伊丹に到着して 整備と点検を終えて
また羽田にフライトして行く
その1時間の間 時間を惜しむかのように
シャッターを押し続けた

夢に向かって心が駆けてゆく時だ
          リリー


久しぶりに我が家の愛猫・りりー登場
とてもお利口 人間の言葉がすべて分かる猫

私が嬉しい時 膝の上に乗ってくる
嬉しさを分かち合おうって顔をして・・・
私が哀しい時 膝の上に乗ってくる
哀しみを半分背負ってあげるって顔をして・・・
私たち家族の心模様が読める猫

お行儀がよくて 私たちの食べ物を欲しがらない
キャットフードだけしか食べない猫
トイレは粗相をしたことがない 砂も上手にかける
家族には絶対的な信用がある

恥かしがり屋でシャイで 人が来ると引きこもり
けれど可愛くて可愛くていつもギュッとしている
リリー・13歳 (6月18日)
梅・4歳半 (6月19日)
           


久しぶりに我が家の愛猫・梅登場
はっきり言ってバカです
そのバカが可愛いのだから私も相当なバカ

寝室のドアを開けていると
いまだに私の掛け布団の上にオシッコをする
現行犯で捕まえたことがないからあとの祭り

私たちの食事が始まると必ずテーブルの前に座る
そして「ニャー ニャー」と鳴く
その煩わしさについ食事をあげてしまう

絶対にひとりでは眠れない猫
私の横で私にタッチしていないと駄目な猫
ビジュアル系で訪問者には人気があって社交家
家族には「バカ梅」と言われながら可愛がられている
              Father's Day


無口で口下手なあなたはいつも母さんにお株を取られているね
けれど優しさの間のおき方は絶妙で そんなあなたを素敵だと思う

母さんをとっても愛していて いつも母さんをオッカケして
私たちを心から愛してくれて
あなたから人を愛することを教わったような気がする

タバコを一日二箱だなんて もう駄目だから
日曜日のパシャマ姿の気の抜けた父さんが好きだよ

普段はなかなか言えなくてごめん
一年分まとめて言うなんて笑っちゃう? 「 お父さん ありがとう 」
私たちの幸せはあなたの子供に生まれて来たこと

                         あなたの愛する娘と息子より