September . 1
那覇空港  (9月1日)
        翼に乗って


時計の長針と短針が重なり合う瞬間
この場所であなたと私の短いドラマが始まる

何度逢瀬を重ねても進む方向が違う二人
あなたは東 私は西
永遠に同じ方向に進むことはない

けれどいいではないか
その瞬間 あなたのぬくもりを感じられたら
私は生まれてきたことに感謝できる

そんな愛し方があってもいいではないか
さよならはいつも翼に乗って
あなたは東へ・・・ 私は西へ・・・
梅田・ヘップナビオ  (9月2日)
      秋と私


飾り窓から観る景色は秋の色
18:30
いつも通りあなたがこの窓の下を通る

秋の夕暮れは段々短くなる
もうすぐこの飾り窓から
あなたの姿が見えなくなる

部屋に明かりを灯せば私に魔法がかかる

早く私に気づいて
毒りんごを食べてしまう前に
早く私に気づいて

そしてお願い・・・・
私をここから連れ出して

京都・北山通  (9月3日)
      かくれんぼ


じゃんけんで負けるのはいつも私
かくれんぼで鬼になるのはいつも私

かくれんぼして何度あなたを見失ったことか
泣きべそかいてうずくまり私の肩に秋の夕暮れ

きっとこれが永遠の別れだと思った時
あなたが笑顔で現れる

追いかけたり追いかけられたり
あなたと私はアダムとイブ

二人は永遠に離れない
京都・貴船 秋明菊  (9月4日)
BGM  「恋心」
  Oswald
      花ごよみ


たった一輪で咲きました
秋の風を感じたから咲きました

薄紅色でずっといたいと願っています
私の心の色だからです
変わらずここで咲いていたいと思います

青い空が広がって白い雲が流れる
そんな秋が来ました

あなたはきっと立ち止まって
そして私に気づいてくれるに違いない
万代公園  (9月5日)
        無題


急きたてられて追いかけられて
毎日消化不良で暮らすうさぎがいた

向こう岸へ渡るのに飛び石を渡ろうか
それともずっと向こうにある橋を渡ろうか
うさぎは二者択一を迫られた

急いでいるうさぎは飛び石を渡り始めた
ひとつ渡ると後ろの飛び石が沈んだ
うさぎは真っ青になった

人生とは前へ前へと進むだけ
毎日が真剣で命からがら

飛び石のうさぎを浮き草が見守る
四条河原町 サーティーワンアイスクリーム
                      (9月6日)
       マリオとピーチ姫


アイスクリームの上にチョコレート
その上に生クリームを載せて頂上にはピーチ姫

このピーチ姫を助けるためにマリオは
たくさんのきのこをパワーにして進んで行った

あなたはピーチ姫を最初に食べる人ですか?
それとも最後まで取っておく人ですか?

スーパーマリオならどうするだろう?
きっと食べないで宝石箱の中へ入れておくね
大阪・天保山  (9月7日)
          告白


秋の空見ながら1周15分の観覧車
ゆらゆら揺れて二人だけの夢のゴンドラ

私はますますおしゃべりになり
あなたはますます無口になる
そんな観覧車の不思議が頂上で解けた

「ずっと君が好きだった」

あとは空中転換 真っ逆さまに墜落みたい
私は動揺を隠せない
私はここから逃げ出せない

嬉しい嬉しい密室の告白


京都・貴船神社  (9月8日)
       京都ひとり


石段を登って二の鳥居をくぐると本殿へ
ここは縁結びの神様
私のご縁はどこへ繋げましょうか?
私の赤い糸は誰と繋げましょうか?

おみくじは小吉
小さな幸せで満足するから
神様はいつも私に小吉を下さる

恋愛   今は叶わぬがいつか叶う
待ち人  きっと来る
ヒルトンプダザ ウエスト  (9月9日)
         灯りの下で


小さな布を繋ぎ合わせて大きなキルトを作りましょう

黄色い銀杏をモチーフに雲が流れて鳥が飛ぶ
銀杏並木を母子が手を繋ぎながら歩く
そんなキルトを作りましょう

昔 私のために手作りの洋服を作ってくれた母
今度は私があなたのために作りましょう
一針一針あなたを想いながら

キルトが出来たら膝かけに
秋が来て少し肌寒くなっても大丈夫なように
その膝かけをして私があなたの車椅子を押しましょう
昔歌った「夕焼け」の歌も歌おうね

灯りの下でキルトが進む
急がなくては・・・ 秋はすぐにやってくる
大阪南港ATCオズ   (9月10日)
       秋の空


秋晴れの週末・・・・
どこへお出かけしましょうか?

ピクニック弁当を作って家族で出かけた日
彼岸花や秋桜をレンズに収めたくて
山野辺の道を歩いた日
一人列車に揺られて故郷に帰った日

秋はいつも少しだけ寂しくて切なくて
誰かに優しい言葉をかけてもらいたい

空よ
今年も私の秋を輝かせておくれ